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棗兄妹、ALL、恭介×小毬話が主成分です。
恭介×来ヶ谷、真人×クドも微妙にあるかもしれません。
※理樹鈴は基本恋人です。ゆい姉と葉留佳さんは恋愛感情で理樹が好き。他の娘は違うって設定が基本(あくまで基本ですが)

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有給休暇は今のうち―リトバス☆戦記―
こちらはゲーム「リトルバスターズ!」のパロディ小説を置く臨時特設ページです。飽きるまでゆるりと応援するつもりです。(飽きっぽいですが)おまけに更新速度も遅いです。
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リトバスSS「夢の欠片は流れて、」(理樹+鈴)
※リフレインで「いい」を選んだ場合のアフターストーリー。暗い話ではないです。理樹視点ですが一応、棗兄妹の話かな。妄想しまくり設定。


変わったこと。
みんながいないということ。

変わったこと。
鈴との距離。

彼女が変わったこと。
猫を側に置かなくなったこと。

「夢の欠片は流れて、」

彼女との生活は往々にして順調だった。
僕が退院するまで、彼女は不慣れながらも僕の世話をしてくれていた。
そして退院した今は、一緒に住んでいる。

学校では、転校の話を勧められた。
クラスメイトが全員亡くなって、別のクラスに移るというのも配慮がないと思われたのだろう。

しかし僕が口を開く前に、鈴はこう言った。

「ここに残ります。みんなの為にみんながいた、この学校で卒業したいです」

鈴のきちんと使われた敬語が、それがよく考えて出た言葉だということを示していた。

夕暮れどきに買い物から家へと帰る道。
彼女とふたり。

なんだか僕はこの世界に対してまだ現実感がないような気がする。
本当にみんな、もういないのだろうか。

恭介も真人も謙吾も小毬さんも葉留佳さんも来ヶ谷さんもクドも西園さんも、
みんなみんないないなんてそんな馬鹿なことがあり得るのだろうか。

もちろん僕は彼らが既に、この世にいないということをちゃんと知ってはいるのだ。

お葬式にも出た。
お墓にも行った。

悲しかった。

けど僕の心は、どこか体から離れて浮遊しているように感じる。
世界がまだこちらの世界とかみ合っていない。
視界のピントがずれてしまっている。

鈴はどうだろうか。
彼女もどこか変だった。
今までよりもずっと大人びて、ずっと落ち着いたように見えるが、本当に大丈夫なのか。

僕と彼女が失ったものは同じだったけど、そこには1つだけ大きな違いがある。
恭介は鈴の実の兄なのだ。
どんなに一緒にいたとしてもリトルバスターズの他のみんなと、家族である恭介の価値は違うに決まっている。

その心配をもっとも大きくしているのは、鈴があんなに可愛がっていた猫を側に置かなくなってしまったことだ。

一匹、一匹と恭介がプレゼントしてきた猫たちは誰かに貰われて、今では鈴の手元に誰もいない。
これは鈴が自発的に望んだことだった。

なぜ、そんなことをしたのだろう。

もしかして「死」と言うものを怖がってしまっているのではないだろうか。
それとも恭介がくれた猫だから、思い出してしまうのが嫌なのだろうか。

そんな不安が頭を占めていた。
だから僕が鈴がいないと気付いた時には、彼女の姿は遥か後方にあったのだ。

僕は慌てて引き返した。
そして彼女の姿を見つけたとき、

立ち止まっている彼女の目線の先には、一匹の猫がいた。

真っ白な毛並みの、
金色の目の、
猫が、

じっと鈴と見詰め合っている。

「……レノン?」

それは僕以外の誰もが覚えていなかった猫の名前だった。

みんなが作ったあの夢の世界では確かに存在していたはずなのに、現実世界ではまるで当たり前のように存在していなかった不思議な不思議な猫。
目の前にいるのは、そのレノンにそっくりな猫だったのだ。

ちりん、と鈴(すず)の音が聞こえた。

鈴が座り込んだのだ。
そしてひょいっと猫の体を持ち上げると、すたすたと家への帰り道を歩き始めた。

「ちょっ、ちょっ、ちょっと待って鈴!」
「さっさと帰るぞ。あたしはお腹が空いたんだ」
「帰るのはいいんだけど、その猫はどうする気?」
「一緒に帰るに決まっているだろう、ボケ!」

これは一体どういうことだろう。
ぼんやり空想に耽っていた頭が急にはっきりとしてきた気がした。

てっきり鈴はもう猫を飼う気はないのだと思っていたのに。


まだ残っていたモンペチの缶を開ける鈴の横顔を僕はじっと眺めていた。
ぞくりとする程レノンにそっくりな白い猫も、同じように彼女のことを注視している。
ご飯がもらえるのを待っているのだろう。

「鈴は、もう猫を側に置いておきたくないと思っていたよ」

僕はその時ようやく、不安に思っていたことを口にすることができた。

「なんでそう思うんだ?」
「だってたくさん居た猫を全員どこかにやっちゃうんだもん」

ちりん。

鈴は僕が見たことのない顔をしていた。
遠い日を噛みしめるようなそんな眼差しだった。ゆっくりと口が開く。

「はじめて馬鹿兄貴が拾ってきた猫は、丁度こいつみたいに真っ白い猫だった。
もうむちゃくちゃ、いやくちゃくちゃ小さな猫で、世話するのもよくわからなくて、そのな、とにかくくちゃくちゃだった。くちゃくちゃ大変だった。でも楽しかった。それからうちの馬鹿兄貴は、気がつくと猫を拾ってくるようになった」

「家の中の猫が5,6匹に増えた時だった。きょーすけは言ったんだ。『鈴は猫好きだよな。可愛いよな。でだ、外にはこいつらがもっともっといっぱいいるんだ。ここにいるよりもずっとずっといっぱい。だから……』」


――だから、外に出てみないか?


いつか知りたいとは願っていた。
これは鈴が傷つき笑顔をなくしていたときの物語だった。
彼女の過去を僕はまだ知らない。

ただ僕にわかるのは、恭介のその言葉は、鈴の心に確かに届いたのだろうと言う事だけだった。

太陽の、
土の、
風の、
草の、
命の、
外の、

匂いのする猫たちに触れ合い、
鈴は何らかの理由で閉ざしてしまった心の扉をもう一度開くことにしたのだ。

そうして僕らは出会えることになる。

「あたしはずっとずっと考えていたんだ。きょーすけは何で猫をあたしに贈り続けていたんだろうって」

鈴はそんなことまで考えるようになったのか。

「上手く言えないけど、もしや猫は人の代わりだったんじゃないか?いや、猫と人間は全然違うぞ!人間は猫に変身とかしないからな!変身しない……。変身すればいいのにな!うぅ。その件は後に検討しよう。じゃなくてだな。あたしが人と友達になるのを嫌がったから、せめて猫と友達になって欲しいとか思ったんじゃないか。あたしは馬鹿兄貴じゃないから、よくわからないが」

要領を得ない話し方で、おまけに脱線もしまくっている。
鈴の下手糞な語りは、でも聞いていてとても温かかった。
だってそこには、恭介が鈴のためにどうすればまた外へと興味を抱いてくれるだろうと必死に考えるひたむきな思いと、自己中心的で短絡的で何かの意図なんか考えたこともない鈴が、遥か遠い昔から「猫」というカタチでひっそりと注ぎ続けてきた兄からの愛情を正しいカタチで受け取ろうとしている姿があったからだ。

「だからあたしは今、猫ばかりに構っていたらダメな気がした。小毬ちゃんたちと友達になれたように、あたしが誰かと友達になりに行かなきゃいけないんだ」

それまでは逃げ込んでいた猫たち(居場所)とはしばしのお別れ。

鈴はけして『死』を怖がっているわけでもなく。
恭介やみんなの思い出を怖がっているわけでもなく。
猫という逃げ場をなくし、戦う準備をしていただけだった。

「なら、尚更だよ。どうしてこの猫を拾おうと思ったの?」
「そんなのは簡単だ!」

ぱっと鈴は立ち上がった。

「あたしがあたし自身がこいつと友達に……いや、家族になりたいと思ったからだ!」

今、鈴は笑っている。
幾度となくなくした笑顔を、その時々で彼女は取り戻してここまで生きてきた。
奇跡のようだけど、その影に何人もの人の努力と思いやりが透けて見える。

僕の感じていた世界とのズレが、カチリと嵌った音が聞こえた。

「猫の名前は、決まったの?」
「猫の名前か、そうだなぁコイツの名前は……コイツの名前は、レノンにしよう!!」
「うん。いいね」
「にゃあ」

家の中は、満場一致で賛成の声が挙がった。

ひとりよりもふたり。
ふたりよりもさんにん。

これから先は、三人の生活が始まる。

後日。

「うーうー」
「鈴?」
「難しい」
「しょうがないな」

鈴の後ろに回りこんで、彼女の手を取った。
振り返った鈴の偶然の顔の近さに、自然と僕らの距離はなくなって行き、そして――

視線を感じた。

「うっ」
「どうした?」
「いや、なんか見られてるから」
「ん?」

密着したまま、つー、と2人の視線は座り込んでじっとこちらを見ているレノンに当てられる。

「猫じゃないか」
「そうだけど。そうだけど」

なんだか、具体的に言うと彼女の親族にラブシーンを見られてしまったような気まずさと気恥ずかしさを感じてしまうのだけど。

「やっぱりレノンの名前、変えない?」
「はぁ?何だ唐突に」
「恭介、とか」
「何でここで馬鹿兄貴の名前が出てくるんだ?」
「だ、だって……」

すっと目を細めてこちらを見物しているレノンの顔が、ニヤリと笑う誰かさんと被ったような気がしたのだ。

―缶―

これはなんという美佐絵さんシナリオだ!(描き終わった自分の拙作を仰ぎ見て)
猫がキーだと聞いて、実は恭介が猫とか?鈴が猫か?誰の正体が猫なんだ!?とプレイ開始時に思っていたりする。ある意味当たっていましたね。ところでこれ、更に続きがあったりします(笑
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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

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