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Author:喫茶案内人
このサイトにはEX設定はありません。
棗兄妹、ALL、恭介×小毬話が主成分です。
恭介×来ヶ谷、真人×クドも微妙にあるかもしれません。
※理樹鈴は基本恋人です。ゆい姉と葉留佳さんは恋愛感情で理樹が好き。他の娘は違うって設定が基本(あくまで基本ですが)

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有給休暇は今のうち―リトバス☆戦記―
こちらはゲーム「リトルバスターズ!」のパロディ小説を置く臨時特設ページです。飽きるまでゆるりと応援するつもりです。(飽きっぽいですが)おまけに更新速度も遅いです。
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リトバスSS「ALL NIGHT ONE NIGHT」(棗兄妹)
※棗兄妹のなんでもないとある一夜。ほのぼのまったり系。

「何やってるんだー!」

濡れた髪を垂らしたまま、鋭い声を上げて駆け寄って行った鈴は、どすん、と兄の背中に組み付くと、彼の手の中からコントローラーを奪おうと躍起になり始めた。

「おいおいちょっと待て!」
「待ってられるかぁ!あたしのやりかけのゲームを何勝手にやってるんだ!!」
「まぁ暇だったからな」
「しかもラスボス戦じゃないか!」
「もうすぐ負けそうだから安心しろ。ほら、このターンで……ってあれ?」
「ラスボス、ミスったぞ」
「でもこっちで生き残っているのはライフも攻撃力もほとんどないやつで……ってありゃ?」
「クリティカルヒットになったぞ」
「あー」
「おい」
「勝ったな」

と、ようやくコントローラーを渡されても、もはや意味がなかった。

「エンディングが流れ出したぞ」
「へー。こいつら結婚するのか。おぉ、最近のゲームはCGが凄いなぁ」
「なんで3章で死んだこいつが生き返ってるんだ?あたし知らないぞ」
「それはラスボス戦の前にめそ……けふんけふん」
「ほー。しかもなんでラスボスの墓を見てヒロインが泣いているんだ?」
「いや、だってヒロインの生き別れのあ、ってラスボス戦の途中で明かされたんだったなぁ」
「おい。エンディング見ちゃったじゃないか」
「ラスボスを倒さずに見れてラッキーだったな」
「そうだな」
「そうだろ!」
「なんて言うと思うか馬鹿兄貴ぃいいいいいいいい!!!!!」

鈴の雄たけびが再び上がった。


ALL NIGHT ONE NIGHT」


「今夜は寝かせない!」
「はい?」

妹に「寝かせない!」などと言われては、どこの兄も反応に困るだろう。

「あたしがゲームをクリアするまで、あたしも寝ないし、きょーすけも寝かせないからな!」

と言う意味だったらしい。
未だ恭介に張り付いたままの背中で、子供みたいにポコスカ叩いてくる悔しそうな鈴の姿に、「明日は日曜日か。なら夜更かししても大丈夫だな」などと思い、妹の横暴を「はいはい」と言って了承してあげたのだった。

「今夜はオールナイトだ!」

現在時間PM19:00

この時から、少女の夜との勝負は始まっていた。

「よくよく考えると、お前がシャワーを浴びている間にクリアしちまったんだから、クリアするのに1時間もかからないんじゃないか」
「それが、なんと聞いて驚け!実は最後にセーブしたのは5時間前だ!!まいったか!」
「まいっているのはお前の方だろう」
「しかし大変なことにタイムリミットはあと4時間しかない!」
「は?ちょっと待て、自分の手でゲームをクリアするまで眠らない気じゃなかったのか?」
「もちろん今夜は眠らないつもりだ!でもあたしは、夜の11時を過ぎると必ずそのあとの記憶がなくなってしまう呪いにかかっているんだ。だからあたしが眠らなくても意味がなくなってしまうんだ!くそー」
「……それを人は眠ると言うんだ妹よ」

上記の理由でタイムリミットはあと4時間しかないようだ。
果たして鈴は5時間+ラスボス戦を4時間のうちにクリアすることができるのだろうか。


魚柄のパジャマに身を包んだ鈴が、ペタンとフローリングの床に座り込み、真剣な面差しでゲーム画面を立ち上げた。

キィィイン。

ディスクが回転する微かな音が聞こえた。

ぽたぽた。

水滴の落ちる音も聞こえる。

「こらこら、髪の毛拭け」

鈴は風呂上がりの濡れた髪を乾かさずにやって来たのだ。
よっぽどゲームが待ち遠しかったのだろう。

恭介がポンっと、鈴へタオルを投げてあげると、

「ふがー!」

と威嚇された。
頭に落ちたタオルで目が塞がってしまったらしい。

「頼むから拭いてからプレイしてくれ」

兄の呆れたため息にもどこ吹く風で「いやじゃ!」と即答された。

結局恭介が拭いてあげる羽目になり「自分はなんていい兄なんだ」と自分で自分を褒めて心を慰めてみたりした。

「ふんふふんふふん~♪」
「ご機嫌だな」
「前やったときは苦戦したところが、今回はあっさり勝てた」
「よかったな」
「うん!……おぉっ!い、今のわしゃわしゃをもう一回やってくれ!」
「わしゃわしゃ?」
「タオルでわしゃわしゃするやつ!」
「ん……こうか?」
「おぉ~!……んーっ、きもちいーなっ!」

その時鈴の周りは、ほわほわとしたメルヘンな空間に変わっていた。
シャボン玉とかが舞っている。
鈴の体の力は完全に抜けていた。

「トリップ中に悪いが、画面だと残り時間5秒前だそうだぞ」
「あぁ!制限つきイベントがぁ!!またやり直しじゃないか!!極悪非道の馬鹿兄貴のせいだぁあああ!」
「俺が悪いのか?」

ちなみにその後、ドライヤーも要求されて仕方なくまた恭介がやってあげようとしたが「音がうるさい!」と吼えられて、ろくに乾かす間もなくしまわれてしまったそうだ。合掌。

現在時間PM19:45

ぐー。
ぐー。
ぐー。

「お腹が空いた」

少女が3ぐーを記録した時、鈴は恭介にこう言い出した。
ちなみに彼女はゲームに夢中で、夕食を食べるのをすっかり忘れていたと言う。

「食堂は閉まってるからな」
「どうしよう」
「我慢だ」
「む、無理だ!」
「実はな、鈴。お腹の中には神様がいて、お腹の音が連続で3回鳴ると、神様が食事を取らなくてもお腹をいっぱいにしてくれるんだ」
「それは、本当か!?」

驚きに見開かれた目を恭介に向けると、彼は神妙そうに頷いた。
そんな兄の態度に、鈴は本当のようだ!と信じて、お腹が勝手にいっぱいになるまで我慢してみることにした。

5分後。

「お腹いっぱいにならないな」
「そんなにすぐにはいっぱいにならないだろう」

ベッドに寝転がって漫画を読みながら、恭介の気のない返事が返ってきた。

更に、15分後。

「やっぱり変わらない」
「そんなことはない。よくよく考えてみるとお腹がいっぱいになったような気がしないか?」
「よくよく考えてみるとそうかもしれない!」
「そうだろう、そうだろう」

更に、20分後。

ぐー。
ぐー。
ぐー。
ぐー。

「……」
「……」
「やっぱり嘘だろう!馬鹿兄貴ぃいいいい!!」

ぐー。

鈴は泣きべそとお腹を鳴らしながら、兄へと渾身の蹴りくらわせようとしたが、力が出ないのか途中で崩れ落ちてしまった。

「ふがー!ふがー!」

でも声だけはまだ元気だ。

「すまん。正直すぐに嘘だとバレると思ったんだが、予想以上にお前が馬鹿だったから訂正しそびれた」
「ふがー!!ふがー!!」
「わかってる、ほら!」

後ろ手に隠していた物を前に持ってくると、恭介は鈴にそれを差し出した。

「ふが?」

首を傾げる鈴の鼻先でプラスチックの蓋が開かれる。

食欲をそそる湯気が顔にかかり、
熱々の汁が、
敷き詰められた肉が、
つやつやとしたたまねぎが、
とろける温泉卵が、

黄金に輝きながら鈴の目の前に姿を現した。

「ふがー」
「そうだ。吉○家の牛丼だ。食べていいから、ちゃんと人間に戻ってくれ」

鈴が恭介に騙されている間に、恭介はちゃんとアフターケアー用品を買いに行っていたらしい。

震える手つきでプラスチックのスプーンを握ると、鈴は獣のようにその黄金の料理を食べだした。

「美味しい」

と、牛丼の三分の一を口にかき込んだ所で、ようやく人間の言語を操るレベルまで回復したようだ。

「よかったな」

その後は時間の無駄なので、やっぱりゲームをやりながら恭介に食べさせてもらった。

「俺って良い父親になりそうだなぁ」

ゲームに興奮して鈴が口からこぼしてしまったご飯をティッシュにくるみながら、恭介はしみじみ思った。

現在時間PM21:15

この頃、そろそろ漫画にも飽きてきた恭介が暇になってくる時間だった。

「そこ、あっちの道を行った方がよかったんじゃないか?」
「だから先生の実験の手伝いに行かなきゃ異世界へは行けないんじゃ――」
「あぁっ!馬っ鹿だなぁ。あの時俺が言ったのに!」

このように恭介は人のゲームプレイを覗き込んでは、好き勝手言い始めるようになってしまった。

「うるさぁい!あたしがやってるんだからきょーすけは関係ないだろう!!」

正直、言われている方は、かなりウザくてむかついた。
しかも相手が最後だけとは言えプレイ済みだと余計に腹が立った。

ウザい恭介は、胃袋MAXパワーの鈴の蹴りによって黙らされて終わった。

現在時間PM22:00

残り時間は1時間だった。
兄妹の状況はというと、

「くれ」
「ほい」

ぽとん。

頭上からその物体を、恭介がくにっと押出すと上手に鈴の口内にゼリーが落ちる。

相変わらずゲームから離れようとしない鈴だったが、たびたびカップゼリーが食べたいと駄々を捏ねるので、こんな小技をマスター(主に恭介が暇だから)するに至ったようだ。日常生活の何の役にも立たないことは請け合いだ。

鈴は真剣な目で画面を睨んでいる。
ゲームはもうすぐ最終局面。
時間との勝負の結果は、まだ分からない。

そんな鈴を見て恭介は、今更なことを口に出してみた。

「なぁ。どうして今日、こっちに泊まりに来たんだ?」

そもそも恭介が鈴のゲームをクリアしてしまう前から、恭介の部屋で泊まる事は決まっていたのだ。兄妹とは言え、男子寮に女子を泊まらせるなどと言うのは寮の規定違反なのだが、何かを気にしているような素振りで真剣な目をしながら「泊まらせろ」と言う鈴を断る事は出来なかった。

「うん」
「俺の所の同室は今夜はいなかったから良いんだけどな。突然泊まるなんて言うから驚いたぞ」
「うん」
「何かあったのか?」
「うん」
「何もなかったのか?」
「うん」
「……」

人間集中すると、人の話なんて聞いているようでまったく聞いちゃいないものだ。

現在時間PM22:50

ちっちっちっちっ。

夜を気にして音量を下げたせいで、迫り来る時計の音がよく聞こえた。
残り時間は10分だった。ゲームはもうボス戦に入っている。
ここで勝たなければ、やり直す時間は残されていない。

とすん。

恭介の背中に熱が当たった。

「あのなぁ。寮にドルジたちを連れ込んでた」
「ほー」
「それがバレた」
「寮の規定違反だからな」
「今夜はひとりぼっちじゃないといけなかったんだ」

半分目蓋の下りた目で、鈴の声だけは冴え渡っていた。

鈴に寂しかったのか、とは恭介は聞かない。
寂しいなんて言葉を彼女は決して認めないから。

「泊まるなら、今度から女子寮にしろよ」
「んっ」

もう昔とは違うのだ。鈴にとって寂しい夜に一緒にいてくれる相手はひとりだけではない。恭介だけではない。

「でも、たまには……昔みたいに一緒の夜を過ごしたっていいだろう」
「……それも、そうだなぁ…」

ふたりだけで過ごした、幾千の夜があった。
寂しい時も、楽しい時も、辛いときも、嬉しい時も様々だった。
そしてこの夜もそんなたくさんの中に埋もれていく、他愛なくて、でも懐かしいひとつの夜になる。でもそんな夜の存在も、間違ってはいない。

穏やかな鼓動が聞こえる。
人の背中にもたれたまま鈴は寝てしまったのではないかと、恭介は心配になった。

ゲームはまだ終わってはいない。

体を捻って恭介が鈴の顔を確めようとした時、
ゲーム画面では、あるキャラの攻撃が決まった。

クリティカルヒット!

おかしなことに、そのキャラは恭介がゲームをクリアした時にボスを倒したキャラだった。
過去をトレースするように、ラスボスは倒される。

恭介は画面から鈴へと目を移す。
彼女の目蓋がゆっくり下りて行く。
口元は、笑っていた。

「クリアおめでとう。……おやすみ」

時計の針は夜の11時を指し示した所だった。
エンディングを子守唄に、鈴は夢の世界へ落ちて行く。

恭介は本日二度目のエンディングを見ながら、久しぶりに兄妹で過ごす夜も悪いものじゃないなぁと思った。鈴を自分のベッドに運ぶ苦労は、とりあえず考えないことにしたようだ。

翌日。

「くるがや!昨日の夜は言われた通り、ウチの馬鹿兄貴を監視していたが、下着泥棒に行った様子はなかったぞ!も、も、もちろん徹夜で見張ったからな!!一日中、寝ないで監視していたんだからなっ!!眠ってなんかない!」
「ほう。残念だが、小中学生を中心にこの近所に出没していた下着泥棒は、昨日の夜逮捕されてしまったらしい。てっきり恭介氏だと思っていたのだが、どうやら私の推理は外れていたようだ。……ちっ、面白くない
「って、泊まりの真実はそんなオチかよ!?」

まぁ、兄妹なんてそんなものだ。

―完―

でも恭介とふたりで過ごす夜が、たまにはあっていいと思ったのは真実だと思います(ふぉろー)
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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

この記事に対するコメント
ほのぼのとしました~
はじめまして~。っておい!?と申す者です。

今回のSSを読ませていただいて非常になごみまして、コメントさせていただいた次第であります。

自分も棗兄妹大好きです!!あの鈴の強がっていながら実はブラコンなところとかはもう…おっと失礼しました。とまぁ語らせると無駄に暴走してしまうほどの棗兄妹好きです。

しかしこのSSの鈴可愛いなぁ…恭介もいい兄貴で本当にぐっじょぶです!!

これからもなごむようなSS書き続けていただけると嬉しいです!!でわまた!!


【2007/12/25 13:52】 URL | っておい!? #aIcUnOeo [ 編集]

お返事
>っておい!? 様
はじめまして~。こんな所で突然ですが、ファンです!
以前から作品を拝見させて頂いて、シリアスもギャグも大好きだったので、コメントをして頂いたと知った時は、一瞬興奮してパニくりそうでした。ありがとうございます~!

はい!!これからも無駄に有り余っている棗兄妹スキーパワーで、こんなブラシスコン兄妹を書いて行きたいと思っています。
【2007/12/26 20:58】 URL | 喫茶案内人 #wXyqXHsM [ 編集]


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